裏金問題再び

 西武のスカウトがアマチュアの選手にカネを渡していたという件ですが。
 
 早稲田のカントクは何やら「西武は球団を持つな」とか吠えてたそうですけど、西武のスカウトにしてみればこの選手が中学の頃から目をつけていて、ココまでしっかり手なずけてきたのに、読売系列の大学*1に入られたんじゃ元の木阿弥なので、「奨学金」で紐付きにしておけという判断だったんだろうと思います。
 まあ、読売系列の大学のカントクがどういう意図であのコメント出したかは知りませんが、あの前段に「読売様ならまだしも」というフレーズをつければぴったり来そうな気もします。
 「奨学金だと思った。契約金から天引きで返す約束だった」とか言うこの選手のオヤジのコメントなんて噴飯モノでしょう。まあ親御さんにしてみれば、自分の息子の才能にココまで投資してきたわけで、それをこの機会に回収したいという意図があったんでしょうけど。大学進学の時点でも西武のスカウトに相談したと言ってますから、西武のスカウトが指定した大学だったら入学金や授業料は免除(=西武が負担)だったんじゃないですか。
 
 結局のところ、諸悪の根源は例の逆指名(希望枠)なわけで、栄養費なり「奨学金」なりで紐付きにした連中に逆指名させれば無競争で選手を獲れるという仕組みを作ったヤツが悪いわけです。
 某球団の現・主力選手あたりが入団したときに動いたカネは数億単位だったそうですし。
 
 球団ごとの資金力に差がついてしまう現在のプロ野球の枠組みの中で、「戦力均衡による見応えのある試合」と「選手の希望」と「球団の利害」をバランスさせるには、結局完全ウェーバー制+FA制度の大幅な見直し+レンタル移籍などの制度の整備と言った抜本的な改革が必要なのではないかと思います。
 また、結局のところ「底辺」の弱体化から、才能のある野球少年の絶対数が減っていて、早い時期からコイツらを紐付きにしておかないとダメだとか言う事情も見え隠れします。このへんは、高校以上になると育成プロセスを学生野球に頼らざるを得ない野球界全体の問題と考えることもできるでしょう*2。学生野球の側にしても、野球部は格好の広告塔と位置づけられていますから、野球留学とか裏口入学なんて日常茶飯事です。ワタシ自身、高校球児予備軍の中学生の家庭教師をやったことがあり、このあたりの裏事情の一端をこの目で見ています(事前の入試問題漏洩、入試点数への「ゲタ」、その他諸々)。表ではアマチュア規定を振りかざしている学生野球の側も一皮むけば腐りきってるわけで、プロのことを偉そうに言えた義理ではないわけですよ。
 逆指名なんて制度を仮になくしたとしても、結局のところそれに代わる裏道を見つける連中は出てくる(大昔の完全ウェーバーでのドラフトの時代には、自球団の「職員」として仮採用してドラフトにかけるとか、球団と密接な関係のある大学や社会人チームに一時避難させて数年後に再度ドラフトにかけるなんて手が多用されました)わけで、結局いたちごっこですから、プロアマの垣根を越えて野球界全体の発展のために抜本的な改革をする必要がある時期に来ているように思います。
 
 ただなぁ…
 不思議なことに野球界ってところは、既得権益へのこだわりのきついトコなんだわコレが。
 昨年、某アマチュア野球イベントに関わった身として、いろいろ暴露したいネタはあるんですが、ココでばらしちゃうとワタシのクビが危ないんで(苦笑)聞きたい方はワタシに直接聞いてください。

*1:古くは王さん、近年では吉村や桑田など、「早稲田大入学」をちらつかせて読売に入団した選手は多数いますし、今年は「ハンカチ王子」ブームを当て込んだかそれとも4年後を睨んでか、早稲田大の試合を読売系の日本テレビが中継するそうです。

*2:ちなみにワタクシ、桑田真澄の隣の中学で彼より一個年上なんですが、中学時代に「隣の中学にいる天才野球少年」の話なんてまったく聞こえませんでした。それもそのはず、軟式野球の癖をつけてしまうことを避けるため、桑田は中学時代は学校の野球部ではなくリトルシニアで野球やってましたから、そんな噂が一般の中学生の耳にはいるわけがなかったわけです