甲斐犬メジャー化への道?

 ヴァンフォーレ甲府のマスコットキャラクターが「甲斐犬」に決まったそうです。
 
 ワタシのリアルお知り合いの方はひょっとするとご存じかと思いますが、我が家(実家)にはかつて「てっちゃん」という甲斐犬がおりまして、ウチの親父あたりは実の子であるワタシや妹を差し置いてこの「てっちゃん」を溺愛しておりました。
 
 元・飼い主として言わせていただければ、「甲斐犬」なんて犬種は、「人気の犬の飼い方ガイド」とかには絶対に登場しませんし(苦笑)「犬種図鑑」みたいな本によれば「生涯飼い主以外の人間にはなつかず、獰猛。上級者向き」とされている犬種(元・飼い主としてこのコメントには激しく同意しますが)ですから、まあ基本的にマイナー犬種です。何しろ天然記念物に指定されているくらいに個体数が少ない犬ですから、同じ日本犬ながらすっかり人気犬種となった柴犬あたりには大きく水をあけられたマイナー犬ですわ。
 一方、元が猟犬である上に日本の風土に根ざした俊敏さを持つ犬種であり、大きさも柴と秋田の中間くらいと言うジャストサイズ(洋犬主体の今日の分類だと中途半端ですが)ですから、きちんと運動させられる環境さえあればそんなに飼いにくい犬じゃないと思います。環境適応力や無駄吠えの少なさなどから言っても、最近流行の舶来犬種より手のかからない犬だと思いますよ。この辺参照
 
 ちなみにウチのてっちゃんは、「種犬」として自分の食い扶持を稼ぐわんこでした。しつけがあまりよくなかった(苦笑)せいでとんでもない暴れ犬に育ち、甲斐犬愛護会のえらいセンセイから「お宅の子には甲斐犬の気品がない!」と怒られた前歴を持つ(苦笑)てっちゃんですが、毛色が非常によかったことからソコソコの人気種牡犬(笑)になり、毎年種付け料を稼いでおりました。
 この優秀な毛色の要因は、実はやばいくらいの近親交配だったりします。サラブレッドの世界だと「奇跡の血量」として18.75%(「3×4のインブリード」=両親の3代前と4代前に同じ先祖がいる近親交配)が珍重されていましたが、ウチのてっちゃんの血統書を見ると、50%を超えるような超弩級の近親交配が行われています。この辺の影響か、てっちゃんの体型は甲斐犬の標準体型よりやや胴長甲斐犬の標準体型は「真横から見てほぼ正方形」だそうです)だったりしましたが、毛色は非常にきれいな中虎毛でした。「中虎毛」=褐色ベースで黒の虎縞という毛色辞退が、甲斐犬でも結構珍しかったおかげで、てっちゃんは人気種牡犬になれたわけです。
 こんな場末のブログを見る甲斐犬愛好家はいないと思いますが、お宅の甲斐犬の血統書に「徹狼」なる名を発見されたら、それがウチの「てっちゃん」です(「徹狼」は正式名称…というか血統名)。
 
 …実は、一度ウチにこのてっちゃんの息子(あっちこっちで作った子供のウチ一匹)が預かられていたことがありました。
 普段はわがまま放題の暴れ犬だったてっちゃんが、一人前に「お父さん」してるのがなかなかほほえましかったです(笑)この時預かったちびは、のちによそに貰われていったのですが、一時はウチで引き取るという話もあって、一応「名前を考えろ」という指令(笑)が親父から家族に告知されました。
 このときワタシが考えたちびの名前は、「虎徹」(こてつ)と「市狼」(イチロー)でした(笑)後者は言うまでもなく、現メジャーリーガーの彼の名をいただいたわけで、当時ブルーウェーブでブレイク中だったイチローのプレイに感嘆して提案したわけで。
 前者は新撰組局長・近藤勇の愛刀「虎徹」から採ったのですが、てっちゃんの祖母(であり、50%を超えるインブリードのかかったご先祖)が「虎姫」だったことから、てっちゃん(「徹狼」)から「徹」と「虎姫」から「虎」の一字ずつ貰った名前、なおかつ当時我が家でこのちびが「てっちゃんの子供」=「こてっちゃん」と呼ばれていた(笑)ことなどから名付けた名前でした。
 
 で、元・甲斐犬の飼い主としては、ヴァンフォーレのマスコットに選ばれたことで甲斐犬がメジャーデビュー(笑)することは喜ばしいんですが、「この毛色は甲斐犬と違う!!」と文句の一つも言いたくなるわけですよ(笑)甲斐犬アイデンティティとも言える「虎毛」じゃないんですなコイツは。まして「毛色のおかげで人気種牡犬になれた」甲斐犬を飼ってた身としては、甲斐犬と言えば虎毛でなきゃダメなわけです。あのうるさい甲斐犬愛護会のセンセイ方(ちなみに、甲斐犬愛護会は派閥争いがあって分裂状態だったりします)がこのマスコット見たら絶対文句言うと思いますよホントに。